『遊戯王VRAINS』と『2010年宇宙の旅』

遊戯王VRAINSは毎週水曜日18:25から放送している遊戯王の第6作目だ。あらすじなどは公式HPで確認していただきたい。今は二年目、第二シーズン目を放送中である。

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 第一シーズンは主人公・藤木遊作の復讐に重点をおいて話が進んでいたが、第二シーズンは人とAIの共存についてがテーマになっている。

第二シーズンから「ボーマン」という青年と「ハル」という少年が新しく敵として現れた。ぼーっとしていて自己が安定しないボーマンと彼を「兄」と慕い支えるハルに、私はこれまた特殊な兄弟をぶっこんできたなと思うだけだったのだが、遊戯王の優秀な考察班が早々にある作品との共通点を見つけた。『2001年宇宙の旅』である。それぞれデビッド・ボーマン船長と宇宙船の人工知能HAL9000だ。

これまで興味はあったが本を読んだことも映画を観たこともなかったので、これをきっかけに本を読むことにした。古い本なんて大抵当時の最先端を進んでいたから面白いのであって、今読むとそうでもないんだろうとなめてかかっていたのだが、正直めちゃくちゃ面白かった。なんで誰もこんなに面白いと教えてくれなかったんだ。

ご存知の方も多いと思うが、『2001年宇宙の旅』でデビッドとHAL9000はある事件を期に対立し、デビッドがHAL9000を破壊してしまう。そのため遊戯王のボーマンとハルも最終的に対立して潰し合うんだろうな、むしろそうなったら熱いなと考えていた。遊戯王に同陣営同士の潰し合いはつきものである。

だが、続編の『2010年宇宙の旅』読み、そんな考えは打ち砕かれてしまった。そんな次元の話ではなかった。ディブもHALも私の想像できるような低俗な世界を越え、新しい境地へ行ってしまった。二人の間のわだかまりなど、稚拙な考察にも数秒もかかる愚鈍な人類の考える幻でしかなかったのだ。スターチャイルドかあ……。

それだけならまだ私が勝手に参考文献を深読みしているだけだったのだが、先日のアニメの放送分で遊作とその友人・尊は相棒である人工知能のAiと不霊夢に「どこかに身を隠せ」「イグニス(作中の人工知能の名称)にも君たちのような良いやつもいる。だけど、人間みんながそれを理解するのはきっとずっと先だ」と話した。つまりは「人間が成長するまで接触はせず、身を隠して時期を待て」ということだ。それが『2010年宇宙の旅』のラストとだぶってしまって……ね。さらに「イグニスたちは人間たちの手の届かない宇宙へ行くのでは?」という考察を見たけたりもしてね……。エウロパ……モノリス……。語彙が死ぬのがオタクの悪いところだ。

軽い気持ちで読み始めた宇宙の旅シリーズだったが、思っていたより遊戯王VRAINSを視聴する上でのスパイスになったのでこれからの展開が非常に楽しみだ。次作の『2061年宇宙の旅』を読んだ後もまた新しい発見があれば嬉しい。

まあこのボーマンとハルの所属するイグニス陣営は全然勝ててないんだけど。敵だから仕方がないが。陣営のリーダーである人工知能、ライトニングにハルは戦力扱いされてないのでここも効いてこないかなと期待している。それこそボーマンやライトニングとの対立とかね。遊作たちの結末も気になるが、イグニス陣営の結末も気になっている。

最近ライトニングが『神曲』を引用し始めたのでまた課題図書が増えた。人間嫌いのくせに人間が作った小説からの引用が多いのはどういうつもりだライトニング